代位弁済が高水準 中小に試練

資金繰り支援策で新型コロナウイルス禍を生き延びた中小企業が試練に直面している。企業の借金返済を信用保証協会が肩代わりする代位弁済は4〜8月で前年同期を大幅に上回る高水準で推移する。日銀の推計でも経営が悪化していた企業の債権延滞などによるデフォルト(債務不履行)率が上昇。「倒産予備軍」が増えつつあることを示している。

全国信用保証協会連合会によると、4〜8月の代位弁済数は1万6891件と前年同期比62%増えた。年度ベースでは3万件を超えた22年度を上回るペースだ。経済再開で観光などサービス業を中心に売り上げは戻ってきたが、人件費や調達費の増加で思うように利益を出せず、膨らんだ借金の返済に追われて資金が回らなくなるケースが増えている。

「コロナ禍前から経営が悪化していた企業の赤字が拡大し、手元資金の減少に歯止めがかからない」――。日銀が10月にまとめた「金融システムリポート」からも中小企業の苦境が浮かび上がる。

日銀は今回、コロナ禍前から債務超過かつ営業赤字の企業を「経営悪化企業」として、先行き1年以内に①3カ月以上の延滞②要管理先以下への格下げ③代位弁済のいずれかに初めて該当することをデフォルトと定義し、その上で確率(デフォルト率)を推計した。23年度は経営悪化企業のデフォルト率が6.6%となり、コロナ禍前の19年度の5.6%から上昇した。中小全体は1%未満でコロナ禍前とほぼ変わらず、対照的な結果となった。

足元では景気の改善局面にもかかわらず一部企業のデフォルト率だけ上がっているのが特徴だ。全体ではコロナ禍を経て手元資金を手厚く確保する傾向が高まっている一方、経営悪化企業には実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」の返済が本格化するなかで利払い負担が膨らみ、手元資金の水準も相対的に低くなっていることが背景にある。

ゼロゼロ融資は当初3年利払いを免除し、元本の返済も最長5年先送りできる制度だ。20年5月に民間金融機関が取り扱いを始めた。元本の返済開始を利払いの免除期間と同じ3年に設定した企業が多く、返済開始が今年夏ごろから増加しており、元々業績が振るわなかった企業を直撃している。

茨城県のある食品関連会社はコロナ禍で営業の縮小を余儀なくされた。ピーク時に約10億円あった売上高は、コロナ禍で3億円まで減少した。ゼロゼロ融資で資金繰りをつないだものの、人件費や原材料コストの高騰にも拍車がかかり、23年に入り返済開始が近づくなかで破産に追い込まれたという。

経営不振が続いていた佐賀県を地盤に建築業を営んでいたある会社は、コロナ禍で経営再建を諦めた。コロナ禍前から低価格住宅の台頭で業績の悪化が続いており、コロナ禍に入り完工高はピーク時の約4分の1まで落ち込んだ。コロナ融資を使い再建を目指したものの、足元の資材価格の高騰や人手不足による外注費負担の増加で資金繰りが悪化し破産した。

倒産は増えている。東京商工リサーチによると、23年度上半期の企業倒産(負債額1000万円以上)の件数は前年同期比38%増の4324件だった。上半期としてはコロナ感染拡大前の19年度以来、4年ぶりに4000件台になった。

東洋大学の野崎浩成教授は「コロナ禍で低位に抑えられていた倒産の水準が『期ずれ』効果として表れている。政府の支援策などのもとでも銀行が債務者の実情を精査していたかどうかが問われる」と指摘する。

日銀の分析では、倒産が増えるなかでも銀行の信用コストは低く抑えられている。倒産件数の多くは資本金1000万円未満の企業が占めており、比較的規模の大きい銀行への財務インパクトが少ないことなどを理由にあげる。

銀行も倒産増を見越して引当金を予防的に積んでいる。秋田銀行ではコロナ禍で対面サービス業種に対して引当金を手厚く積んできた。信用リスクが高いと判断して債務者区分を引き下げたものとみなす方式だ。「将来的に破綻の可能性が高くなるという仮定で、23年度も引き当てを継続している」(同行)という。

ただ先行きは予断を許さない。東京商工リサーチの坂田芳博情報部課長は「現在は金利が上昇局面にあるため借入金利の上昇も予想され、経営悪化企業のデフォルト率はさらに高まる可能性がある」と指摘する。優良融資先で粉飾決算など予期せぬリスクが表面化する懸念も強まる。

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