企業物価、6月9.2%上昇

日銀が12日発表した6月の企業物価指数(速報値、2020年平均=100)は113.8と、前年同月比9.2%上昇した。前年の水準を上回るのは16カ月連続。ロシアによるウクライナ侵攻に伴う供給制約への懸念から、エネルギーなどの資源価格が高止まりしている。24年ぶりの円安も物価高に拍車をかけた。

上昇率は民間予測の中央値である8.9%を0.3ポイント上回った。6月の指数は調査を開始した1960年以降で最も高かった。5月の上昇率は先月発表時点の9.1%から9.3%に、4月の上昇率も9.8%から9.9%に上方修正された。

国内ではエネルギー価格の高止まりを背景に、企業物価の上昇が続く。指数の5%以上の上昇は12カ月連続で、10.4%の上昇率を記録した1980年12月以来の高い伸びを維持している。前回の上昇局面では1970年代に2度発生した石油危機の影響で、高い企業物価の伸びを記録していた。

公表した515品目のうち、上昇したのは8割にあたる409品目だった。上昇率を品目別に見ると、原油価格上昇の影響を受けやすい石油・石炭製品(22.2%)や化学製品(12.5%)、電力・都市ガス・水道(28.2%)などが水準を押し上げた。飲食料品(4.6%)など、消費者に近い品目にも値上げが波及している。

6月には外国為替市場で円が一時、1ドル=137円に達し、24年ぶりの円安水準を記録した。円ベースの輸入物価の上昇率は46.3%と、ドルなど契約通貨ベースの25.8%を上回った。足元の円安が企業の物価を押し上げている。一方、円ベースの輸出物価の上昇率は19.1%、契約通貨ベースは5.9%にとどまった。

外国為替市場で円は足元で1ドル=137円前後で推移する。利上げを進める米国と大規模緩和を続ける日本の金融政策の違いで金利差が広がり、金利の高いドルにマネーが流れ込んでいる。米連邦準備理事会(FRB)はインフレ対応でさらなる利上げを見据えており、円安が企業物価を押し上げる構図が続きそうだ。

2月に始まったロシアのウクライナ侵攻は長期化しており、エネルギー価格は当面、高止まりが見込まれる。元売り会社への補助金支給など、政府の「激変緩和措置」はエネルギー価格の押し下げに作用したが、前年同月比では上昇分を補えなかった。

5月の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数)は前年同月比2.1%上昇するなど、企業の物価高騰の影響が家計にも及びつつある。日銀が掲げる物価2%の物価安定目標に達しているが、インフレは一時的として現在の金融緩和方針を堅持する構え。

物価変動の影響を除いた5月の実質賃金は、前年同月比1.8%減と物価上昇による賃金の目減りが鮮明になっている。春季労使交渉(春闘)での平均賃上げ率も2%程度にとどまっており、景気後退の懸念が高まっている。

 

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